2017 年 75 巻 1-4 号 p. 1-16
国立科学博物館に所蔵のクビマキムシオイの殻標本を精査したところ,体層のうち縫合管(呼吸管)が位置する部分の成長脈縦肋の形状と密度が異なるものが混在していることを発見した。これらの標本が採集された種子島で調査した結果,クビマキムシオイは北部に生息し,それとは殻形態の異なる新種Metalycaeus minatoi Páll-Gergely n. sp.(新称・ミナトムシオイ)は南部に分布することがわかった。ミナトムシオイは体層の縫合管域により多くの縦肋(26~41本,平均33.0本)をもち,個々の縦肋がより低く,表面が滑らかに見える。対してクビマキムシオイでは同部位の縦肋がより少なく(17~23本,平均19.6本),個々の縦肋はより高く鋭い。さらに,Dicharax (?) tanegashimaeも見つかった。Metalycaeus属の本2種の陰茎,歯舌,殻蓋,殻形態,およびD. (?) tanegashimaeの陰茎の形態をここに記載する。