マガキ閉殻筋蛋白のディスク電気泳動像で14本のバンドが観察されたが, ゲルカラム中央部に現われる2本のバンドに, 明らかに表現型があることが判った(図1)。向島臨海実験所前の144個のマガキを用いてハーディ・ワインバーグの法則からこの遺伝子頻度分布を検討したところ表1のようになった。このことからこれらの表現型は2対立遺伝子(A-B)によるものと考えられ, 頻度はA, Bそれぞれ0.569, 0.431であった。なお東北地方のものとは頻度が異なるので(FUJINO et NAGAYA, 1977), 各地のマガキ個体群においてこの閉殻筋蛋白A, Bの遺伝子頻度が異なることが予想される。