ヴヰナス
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蝸牛の自家授精と精子の壽命
池田 嘉平江村 重雄
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1934 年 4 巻 4 号 p. 208-224

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抄録

1. オナジマイマイBradybaena similaris stimpsoniに於ては他の蝸牛類の如く自家授精は可能であるが, 其程度は極めて低い.それは自己精子が兩性腺から受精襄内に移行することが極めて困難なためであつて, 隔離個體の該襄には殆んど精子は發見されない.2. 性的成熟後交接せしめ, 或は一定期間雜居せしめた個體を長期間隔離すると産卵と共に受精襄の精子が次第に減少し, 遂に其缺乏のために産卵が急に低下し或は停止するが, かゝる個體に交接によつて更に受精襄内に精子を供給すると産卵能力を回復する.即ち本種の産卵期間, 回數及び卵數は受精襄内の精子の量によつて左右される.3. 遺傳學的研究の結果本種の精子は受精襄内に於て少くとも16個月間生存し且つ授精能力を保有することが判明した.

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© 1934 日本貝類学会
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