2004 年 78 巻 12 号 p. 621-623
レスベラトロールは赤ワインに含まれる抗酸化作用を持つフィトアレキシン(抗菌性物質)である. レスベラトロールは中等度のワイン消費が心血管病, 脳卒中, 痴呆の危険度と負の相関を示す, いわゆる「フレンチパラドックス」に関与する物質と考えられてきた. 我々は最近, レスベラトロールが核内受容体PPAR(peroxisome proliferators activated receptor)αとPPARγを選択的に活性化すること, さらにPPARα活性化が脳保護効果をもたらすことを見いだした. これらの知見は「フレンチパラドックス」を説明する新しい作用機構を提供すると考えている. 一方で, レスベラトロールは寿命延長効果を持つカロリー制限模倣物質であること, オレイルエタノールアミドがPPARαの新しい内因性リガンドであり, その活性化によって食欲をコントロールすることが報告されている. そこでこれらの知見を含めて, 今後の展望とともに紹介したい.