笑い学研究
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乳児の自発的微笑と外発的・社会的微笑の質的な違い
生後1年間における1事例の縦断的観察を通して
池田 正人
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 25 巻 p. 42-55

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抄録

乳児の微笑には、外部刺激がなくても睡眠中に出現する自発的微笑と、外部刺激に反応して起こる外発的・社会的微笑がある。先行研究では、自発的微笑が成長に伴い社会的微笑になるという立場と、2つの微笑は並存し、置き換わるわけではないという立場がある。  本研究は、1名の乳児から自発的微笑と、養育者による外部刺激を提示したときの外発的・社会的微笑を週1回以上の間隔で測定し、成長に伴う微笑反応数の変化や、微笑時の顔の形態等から2つの微笑の関係を調べた。  週齢0週から51週まで1年間調べた結果、自発的微笑の頻度は出生直後の高水準が、週齢13週以降減少するのに対して、外発的・社会的微笑は週齢13週までの間増加した。その後は、どちらの微笑も頻度は減りながら併存していた。また、出生後から1年間通して、自発的微笑は口を閉じ、外発的・社会的微笑は口を開けるという形態の違いが見られたことから、2つの微笑は出生時から質的に異なるものであると考えた。

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