雑草研究
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総説
除草剤耐性遺伝子組換え作物による雑草防除技術の有効性:米国を例として
佐合 隆一
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2011 年 56 巻 2 号 p. 104-110

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抄録

遺伝子組換え(GM)作物は,2009年には全世界25カ国の1億3,400万ヘクタールで栽培され,その85%以上が除草剤耐性GM作物であると推定されている。除草剤耐性GM作物を利用した雑草防除技術は1996年頃から本格的に普及を始めた中で,わが国では本GM作物の実用栽培は行われていない。そこで本GM作物を利用した雑草防除技術が,わが国において必須の防除技術であるか,また化学的防除の欠点を補いうる革新的技術であるかについて検討した。glyphosate剤は殺草スペクトラムが広く,環境負荷も含めた安全性の高い除草剤であり,本剤を利用した雑草防除は最も優れた選択肢の一つである。しかし,同一作用点の除草剤の連用や反復使用は,やがてその作用点に抵抗性をもつ雑草の出現を生じることが米国において証明された。特定の除草剤に耐性を有するGM作物の作出による雑草防除は,その除草剤の商品寿命を短命化すること,抵抗性雑草対策が必要な圃場では,GM作物導入によるメリットとされていた事柄が実現し得ないことが明らかとなった。こうしたことから,除草剤による防除を続ける限り,特定の除草剤使用に極端に偏るのではなく,新しい作用点を有し,殺草スペクトラムの異なる新規化合物開発の必要性は不変であり,重要であることが確認された。

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© 2011 日本雑草学会
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