抄録
水田多年生雑草ミズガヤツリとクログワイは9月はじめ頃から地下に越冬器官を形成し始める。この時期の前とあととでは越冬器官の形成あるいは越冬器官からの翌年の発生に及ぼす除草剤の影響に大きな違いがあるのではないかと考えられた。そこで増殖の初期と盛期, 塊茎形成の初期と後期の4時期にMCP, ATA, MCP+ATA, paraquat, DPAの5除草剤の雑草処理を行ない, 殺草性を検討した。
増殖期にはDPA以外の4除草剤の地上部に対する作用力が強く, 特にMCPとMCP+ATAとでは地上部がほぼ完全に枯死して, 越冬地下器官の形成もなく, 翌年の発生を完全に防止した。ATAは地上部を完全に枯死させるには至らなかつたが, 地下器官からの発生株がほとんど全部異常となり, 正常発生がほぼ完全に阻止された。Paraquat は処理時期が早いと再生した株が越冬地下器官を形成し, 翌年の発生源となることがあり, 増殖初期より増殖盛期の処理で正常発生が少なかつた。
塊茎形成初期処理では地下器官からの発生を阻害する作用の強いATAとMCP+ATAで正常発生が少なかつた。Paraquat にも地下器官からの発生を異常にする作用があり, 越冬地下器官の形成抑制と相まつて塊茎形成初期の処理でも正常発生を防止した。
塊茎形成後期の処理ではいずれの除草剤でも地上部に対する影響が小さく, 地下器官からの発生防止効果も大きくはなかつた。