抄録
1. 本研究は多年生水田強害草クログワイの防除に関する研究の一環として, その繁殖器官である tuber の形態および生育形成経過ならびに萌芽, 初期生育における諸特性について検討したものである。
2. Tuber は地下茎先端の肥大したもので, 扁球形をなし, 頂端部に4~6個の芽を有している。この芽は, 中央部の根および茎の原基体, これより下部の背地性を示す rhizome, また上部の2本の茎始原体から成つている。球部は直径8~10mmのものが多く, 養分の貯蔵器官で, 初期生育に影響を及ぼす。
3. 完熟 tuber は休眠性を有しているが, 包皮の除去によつて萌芽し, また各々の芽はそれ自体で十分生育可能である。
7月上旬に萌芽発生したクログワイは, 約1ヵ月で生育増殖を完了し, 9月上旬より tuber 形成のための地下茎を下方に発生し, 9月中, 下旬より先端に tuber を形成する。
4. Tuber の形成は短日によつて促進され, また地上部の生育とも密接に関連し, 生育初期に地上茎切除を行なうと再生が大きく, tuber 形成にも影響が少ないが, tuber 形成始期 (発生後約2ヵ月後) の切除では tuber の形成が極度に抑制される。
5. 背地性 rhizome の伸長, それに続く分化までの初期生育において, 背地性 rhizome の伸長には低酸素分圧および暗黒, 分化には高酸素分圧および光条件が促進的に作用する。また, 分化が生起すれば伸長は停止する。