抄録
1) 多年生雑草クログワイ多発水田より塊茎を採取し, その生態的特性を把握するとともに, 稲生育期間を通じて薬剤処理を行ない, その抑制効果ならびに稲に対する薬害を調査し, クログワイ防除に最も適切な薬剤および処理方法を見出そうと試みた。
2) 水田においては, クログワイ塊茎は心土まで一様に形成され, かつ深度が深くなるにつれて大きくなる。
これらの塊茎は越冬によつて大部分休眠覚醒状態となるが, 浅い位置に形成される小塊茎は, 深い位置に形成される大きい塊茎よりも早く萠芽する傾向がある。また, 一部の塊茎 (黒色塊茎) は萠芽力を有したまま2シーズンにわたつて土中に残存する等, 塊茎のageにかなりの幅があり, これらはクログワイの萠芽が極めて不斉一になり, 防除が困難となる主要因である。
3) クログワイの生育初期におけるDCBN (A. I. 15g/a) およびATA (A. I. 90g/a) の湛水土壌処理は, 地上部殺草力および塊茎形成抑制力が高いが, MCPエチルエステルは小さい。
また, 稲登熟期におけるATAの土壌処理は, クログワイの塊茎形成を阻止しないが, 翌春の発生をかなり抑制する。同時に, 稲の収量構成要素に対する影響も小さい。しかし, 種実中へのATAの移行蓄積があり, 次代幼植物の白化, 枯死が認められる。
4) 畑地に繁茂するクログワイは, パラコートの茎葉処理で完全に除去することができる。この場合, 萠芽の不斉一性を考慮すると, 再生後の塊茎形成直前の処理を合計2~3回行なうのが最も好ましい。