抄録
日本各地11ヶ所14集団のカラスムギの穎果の変異を調査した。カラスムギの他に近縁6倍体の A. sterilis subsp. trichophylla とエンバクがみい出された。カラスムギの穎果はその色, 穎果基部の毛の長短, 外穎背部の毛の有無と粗密の程度から8種類に分けられた(Fig. 1)。外穎無毛で基部の毛の短い黄色の穎果と外穎背部に密に毛を付着し基部の毛の短かい褐色の穎果は小さく, 外穎背部に粗から密に毛を付着し基部の毛の長い灰白色から黒色の穎果は大きくなる傾向にあったが, 色, 毛の長短および背部の毛の粗密の個々の形質と穎果の大きさには明瞭な関係はみられなかった。穎果の種類の頻度から求めた多様度と穎果の大きさの汎分散には弱いが相関が観察された (Fig. 2)。単型的な集団では汎分散は小さく, より多型的な集団では汎分散は大きくなる傾向にあった。日本のカラスムギ集団の多様性の維持には移住の効果の大きいことが老察された。