雑草研究
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高等植物のクロルスルフロン感受性におけるアセトラクテートおよびアセトイン生成系の関与
中田 昌伸
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1991 年 36 巻 1 号 p. 58-67

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抄録
植物から抽出した粗酵素液におけるアセトラクテート合成酵素活性は植物の種類によって, また生育段階によっても変動し, アセトインの生成も認められている。本実験では, 数種植物の発芽後のアセトラクテート合成酵素およびアセトイン合成酵素活性の変動と, これらの酵素に対する除草剤クロルスルフロンによる阻害について検討し, さらにアセトラクテートの定量法についても検討した。
1) 発芽後4日目までの緑豆, ダイズおよびアズキはクロルスルフロンによって生育阻害を受けなかった。
2) ダイズ種子および発芽後4日目までの胚芽にはアセトラクテート合成酵素が存在しなかったが, アセトイン合成酵素が存在していた。
3) 至適pHを6に持つアセトイン合成酵素はクロルスルフロン阻害をうけないが, 至適pHを7~8に持つアセトラクテート合成酵素は阻害され, これを持つ植物ほどクロルスルフロンによって強く生育が阻害された。
4) ガスクロマトグラフィー分析によって酵素反応で生成したアセトラクテートおよびアセトハイドロキシルブチレートの定量が可能であった。またダイズ種子および胚芽から抽出した酵素にはアセトラクテートが生成されていないことが確認できた。
5) 高速液体クロマトグラフィー分析によって標品のアセトラクテート, アセトインおよびピルビン酸を用いると分離定量が可能であったが, 酵素反応で生成したアセトラクテートの検出は検出限界以下の濃度のため不可能であった。
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© 日本雑草学会
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