雑草研究
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ベンスルフロンメチルおよびベンチオカーブの処理がコナギ幼植物の成長および土面への固着力に及ぼす影響
松尾 光弘芝山 秀次郎
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2002 年 47 巻 1 号 p. 1-6

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抄録
除草剤の処理がコナギ幼植物の生育, 特に胚軸毛の形成およびその水田土壌面への固着力に及ぼす影響を知るために, ベンスルフロンメチル〔methyl α-[[3-(4,6-dimethoxypyrimidin-2-yl) ureido] sulfonyl]-o-toluate〕およびベンチオカーブ [S-(4-chlorobenzyl) diethylthiocarbamate] を処理し, 播種後1, 3および5日目におけるコナギ幼植物の形態, 固着力および胚軸毛の形成様相について調査した。
ベンスルフロンメチルは, 1ppm処理区では幼植物の成長停止と土面への定着不良を生じたが, 0.01ppmより低濃度の処理区では成長抑制は認められず, 0.0001ppm処理区では種子根長や全冠根長が無処理区より長くなった。胚軸毛については, どの処理区も個体当たりの本数はおおよそ100本で, 最長毛長は無処理区とほぼ同程度の長さであった。ベンチオカーブは, 1ppm処理区ではコナギ幼植物の成長停止および土面への定着不良を生じたが, 低濃度になるにつれて, 幼植物に対する成長抑制は小さくなり, 0.0001ppm処理区では無処理区の幼植物の成長とほぼ同程度であった。また個体当たりの胚軸毛の本数については, どの処理区においても無処理区とほぼ同様であったが, 高濃度になるにつれて最長毛長は短くなった。コナギ幼植物の土面への固着力は, ベンスルフロンメチルの0.001ppmあるいは0.0001ppm処理区では, 播種後3日目は無処理区と同程度であったが, 播種後5日目には無処理区の2倍近くに増大した。一方, ベンチオカーブでは, 播種後5日目までどの処理区においても無処理区より固着力が小さかった。
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