2018 年 1 巻 p. 1-6
落葉広葉樹林の林床に植栽したセントオーガスチングラスの生育を放牧条件下で調査し,立木による庇蔭の影響を検討するとともに,試験地においてシバの侵入がみられたことから,ポット試験において両草種の競合実験を行った. セントオーガスチングラスは比較的明るい林内では被度が拡大する傾向が認められた.一方,立木を皆伐した,施肥しない場所に植栽した場合では,シバに抑圧されて衰退した.両草種を混植したポット試験において,施肥量の増加に伴い両草種とも茎葉重が増加したが,その度合いはシバに比べてセントオーガスチングラスの方が顕著であった.根重については,両草種とも施肥量および石灰量の増加による明らかな影響はみられなかった.セントオーガスチングラスは施肥しない条件では,シバ等の貧栄養土壌に適応した草種に抑圧され,衰退する場合があると考えられた.