2014 年 4 巻 p. 3-8
ハンノキの生長と萌芽に伴う形態変化について検討するため,北海道石狩市のマクンベツ湿原においてハンノキ20 株を調査した.各株の全ての幹について胸高直径(DBH)と幹高を記録し,さらに各株で最もDBH が大きい幹(主幹)を対象に年輪数の計測と,レジストグラフによる腐朽状態調査を行った.その結果,幹数/株が多く,且つ高齢な主幹に腐朽が認められる傾向が示唆された.さらに,腐朽した主幹が枯死した場合には,細い主幹を有する多幹形態を呈する可能性が考えられた.このことからハンノキの生長更新過程における形態変化パターンの一つとして,太い主幹をもつ多幹型と細い主幹をもつ多幹型を交互に繰り返すパターンがある可能性を指摘した.すなわち,ハンノキの形態は,生長と更新の過程の中で大きく変化する可能性が示された.