湿地研究
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琉球列島における熱帯性海草類ベニアマモ, リュウキュウアマモ(シオニラ科)のアロザイム多型の解析
中川  昌人
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 4 巻 p. 9-18

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抄録

琉球列島に分布する熱帯性海草類2 種,ベニアマモ,リュウキュウアマモ(シオニラ科)の遺伝構造をアロザイム酵素多型により解析した.ベニアマモでは6 集団123 サンプルについて10 酵素15 遺伝子座での遺伝子型を決定したが,多型の程度は極めて低く,1 遺伝子座がヘテロ接合であった奄美大島の1 サンプルを除く全サンプルがホモ接合からなる単一の遺伝子型を示した.リュウキュウアマモでは,8 集団156 サンプルについて10 酵素14 遺伝子座で解析したが,4 遺伝子座(28.4%)で多型があり,それぞれ2 対立遺伝子を保持していた(平均1.28 対立遺伝子).全156 サンプルで12,集団ごとに1 から4 の多遺伝子座遺伝子型が確認され,集団ごとに異なる遺伝子型が優占していた.リュウキュウアマモの遺伝的変異量は海草類の平均程度であったが,いずれの種でも多型性は遺伝構造の詳細な解析には不十分で,より多型性が期待されるDNA 多型マーカーでの再評価が必要であろう.

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© 2014 日本湿地学会
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