本論文では,Rubbertらの理論をベースとした厚翼の基礎式に,薄翼近似を部分的に導入して「簡便な厚翼計算法」(SQCM)の基礎式を誘導し,その物理的な意味を明確にすることを目的としている。その結果,SQCMで用いられるキャンバー面における境界条件は,翼の揚力特性を決定するために追加された式であること,また翼表面ソース分布から翼内部のキャンバー面に誘起される項は,揚力特性を求める際に翼厚の影響を考慮するために付加したモデルの1表現と考えることができ,クッタの条件を満足させる上で有効に作用することが分かった。