廃棄物学会誌
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廃棄物最終処分場で検出されるダイオキシン類の濃度レベル
野馬 幸生池口 孝
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1999 年 10 巻 6 号 p. 447-465

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抄録

最終処分場へ埋め立てられた廃棄物中のダイオキシン類が長期間にわたって処分場内へそのまま残存しているのか, 分解が起きているのか, 浸出水として流出しているのか, あるいはその割合はどの程度なのか等について明確な知見が得られていない。今後, 廃棄物最終処分場周辺のダイオキシン類の調査が進んでくると思われるが, 調査結果を解析する上での参考に供することを目的に処分場におけるダイオキシン類の濃度レベルについて, 文献調査した結果を整理した。
文献調査の結果を海外と日本に分けて整理し, また埋立地土壌や浸出水中の濃度を環境試料中の濃度と比較した。埋立物や処分場周辺の土壌や浸出水等のダイオキシン類濃度レベルは広範囲にわたっていたが, それはダイオキシン類の濃度レベルの大きく異なる廃棄物が種々の方法で, しかも様々な土壌・地下水環境中に処分されたためであると考えられた。
海外の文献には, ダイオキシン類による重大な土壌・地下水汚染事故の調査や修復方法, 発生源と投棄場周辺環境調査を記載したものが多いが, 日本の文献では, 一般廃棄物焼却残渣の埋立地周辺調査が多く, 埋立地でダイオキシンが移動するか, 埋立地周辺の汚染がないかの確認のための調査に主眼が置かれていた。

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© 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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