廃棄物学会誌
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ダイオキシン様物質の培養細胞によるバイオアッセイ
酒井 伸一滝上 英孝細江 和典ベーニッシュ ピーター
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2003 年 14 巻 1 号 p. 34-50

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抄録

ハロゲン化芳香族炭化水素化合物 (PHAHs: Polyhalogenated aromatic hydrocarbons) による様々な毒性および生物学的反応の多くはアリル炭化水素受容体 (AhR: aryl hydrocarbon recepter) を介することが知られている。EROD (ethoxyresorufin-O-deethylase) およびCALUX (chemical-activated luciferase gene expression) バイオアッセイはPHAHsによるAhRを介した遺伝子発現反応を利用した感度の高い生物学的測定法であり, 未知物質も含め, 環境・廃棄物試料のような混合物中に含まれるダイオキシン様活性物質を包括的に検出することができる。ダイオキシン様物質を検出するためのAh結合バイオアッセイについて, 培養細胞によるEROD法およびCALUX法を中心に, 背景, 歴史, イムノアッセイとの比較, ハロゲン化芳香族炭化水素化合物, および環境・廃棄物試料への分析応用例等について概説した。ERODまたはCALUXバイオアッセイをGC/MSによる個別定量と併用すること, あるいは化学分析前のプレスクリーニングに用いることにより, 環境・廃棄物試料などに含有されるダイオキシン様物質を包括的に理解するうえで有用と考えられる。

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© 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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