資源循環技術として水熱反応を用いた無機系廃棄物の機能材料化について検討した。無機系廃棄物として粘土鉱物を含有する廃土, ならびに凝集沈殿剤に由来する非晶質水酸化アルミニウムを含有する浄水汚泥を出発原料とした。これらと消石灰の混合物を, 30MPaの成形圧で一軸乾式プレスを行い, 180~220℃の飽和水蒸気圧下で水熱処理を行った。水熱反応によっていずれの廃棄物を用いた場合でもナノオーダー粒子が生成し, 出発物質に粘土鉱物が含まれる場合はハイドロガーネット, 非晶質水酸化アルミニウムが含まれる場合はAl-Si-Fe-Ca系の非晶質物質がそれぞれ生成した。これらのナノサイズの水和物の生成によって材料として実用に耐えうる強度が発現するとともに, 数ナノメーターの細孔構造が形成され, 調湿材や吸着材としての用途が期待できる。