本報告ではわが国でこれまで実施されてきた, 使用済自動車からのフロン類回収破壊システムの成果と課題を整理し, さらに自動車リサイクル法の完全施行を前になお懸念される問題点を解明することを目的とする。具体的には, 1998年からスタートした業界の自主取組みである「自工会ルート」および「自治体ルート」, 「第3ルート」, 2002年10月から施行されたフロン回収破壊法に基づく「フロン法ルート」の特質と成果について考察する。とくに, 「フロン法ルート」による問題点として, 自動車フロン券システムに内在された問題, フロン類の再利用に関する問題を指摘した。最後に2005年1月に本格施行予定の「自動車リサイクル法」による新制度の特質と, それによってもなお残存する留意点をあげた。