2008 年 19 巻 6 号 p. 271-277
バイオディーゼル燃料 (BDF) ヘブタノールを添加することで, 流動点が下がり, 燃焼効率が向上する。アセトン・ブタノール (ABE) 発酵を用いたバイオブタノール生産は, 基礎から応用まで幅広く研究されている。これまで, 種々のABE生産菌が分離され, 標準株ではその代謝経路が明らかとなっている。サゴデンプン廃液などの生物系廃棄物の利用はコスト面で優位であり, これらを原料としたABE発酵が行われた。また, 抽出剤として植物油脂のBDFを用いた抽出発酵が試みられ, 効率的なブタノール生産と高性能なブタノール添加BDF生産が実現された。さらに, 種々の培養法を用いて, 高速高効率的なブタノール生産システムが開発された。その他, 遺伝子工学的手法を用いた高ブタノール生産菌の分子育種や, バイオインフォマティクスを利用した代謝解析も行われている。