1996 年 7 巻 6 号 p. 462-473
本稿では, 経営学的な立場から, 近年の企業経営の環境問題への取組みを概観する。これは, 従来の主流であった環境問題にたいする工学的技術的, 法制度的ないしは環境経済学的なアプローチを補完し, 場合によってはそれらに対立するパラダイムを提供する。
本稿では, 企業経営における総合的品質管理TQMの発展史をたどり, 品質管理が総合的環境品質管理TQEMおよび国際標準化機構ISOにおける環境管理システムEMSやその規格ISO 14000sを導いた点をとくに検討する。あわせて, 環境規制とイノベーションやマルコム・ボルドリッジ国家品質賞の環境管理への適用等の関連するトピックスについて言及する。