2015 年 10 巻 3 号 p. 1-14
65歳以上の就業者数は2013年に636万人,と就業者全体に占める割合が初めて1割を超えた。年間の仕事の斡旋実績人数がハローワークの4倍にも上るシルバー人材センターだが,ホワイトカラーの受け皿になりきれていないなどの課題がある。11の政令指定都市のシルバー人材センターに対し調査を行い,会員一人あたりの雇用創出コストと仕事の受注先,就業率などの相関関係を見た結果,次のことが明らかになった。まず,自治体からの受託事業費が低いほど,会員一人あたりの雇用創出コストのパフォーマンスが高くなること。次に,自治体からの受託事業を増やすなど投資コストをかけたとしても,シニアの就業向上に必ずしもつながらないこと。また,就業機会創出員を上手く活用することで,会員の平均所得も考慮しながら,シニア就業の機会創出に取り組むことが可能であることも明らかになった。さらに,事業試行自治体におけるシルバー人材センターの取り組み事例からも,データベースの活用と広域斡旋などによるシニア就業の機会拡大への方向性が見えてきた。