2019 年 11 巻 1 号 p. 18-25
要旨:今回,日常生活での口腔内環境を悪化させる要因を明らかにする目的で,健康フェアにおける地域住民の口腔内環境の現状についてのアンケート調査と唾液検査の実施により,参加住民の口腔内環境悪化要因の探索を行った.健康フェア参加者に対し,う蝕・歯周病・口腔清潔度に関する7 項目の測定を行った.また,参加者情報と口腔ケアに関するアンケート調査を実施した.参加者は男性が32 名,女性が64 名であった.虫歯菌と酸性度において,参加者の測定値が平均範囲よりも高い値を示した.1 日2 回以上歯を磨いている参加者が大部分であったが,標準の3 分以上歯を磨いている参加者は約23%と少なかった.主成分分析では,3 回以上の歯磨きおよび虫歯を気になる参加者は総合的に歯の健康度で良い傾向が示された.以上の結果より,歯磨き回数が少ないことが特に口腔内環境を悪化させる要因である可能性が示された.