2020 年 12 巻 2 号 p. 74-83
国際的な課題の一つである薬剤耐性菌感染症への対策として,抗菌薬の適正使用に向けた薬剤耐性(AMR)対策アクションプランが厚生労働省により 2016 年 4 月に策定された.本研究では,当社グループが 2013 年 4 月~2019 年 3 月に運営していた 248 薬局の処方箋データを用い,抗菌薬の処方回数と処方日数を調査し,有意水準 0.05 とした分割回帰分析で解析した.アクションプラン策定前後で,処方回数推移は−202.3 回 / 月(95%信頼区間(CI):−325.7,−79.0),処方日数推移は −1905.9(95% CI:−2969.0,−842.9)となった.また,2015 年 4 月~2019 年 3 月の第三世代セフェム系,14 員環マクロライド系,ニューキノロン系の月平均処方回数も有意な減少傾向であり,AMR 対策アクションプラン策定が保険薬局の抗菌薬の処方回数と処方日数の減少の一因となった可能性が示唆された.