薬局薬学
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総 説
薬局の役割の変遷と今後の展望
北垣 邦彦
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2020 年 12 巻 2 号 p. 65-73

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抄録

薬局等に従事する薬剤師は,この二十数年間毎年増え続け,現在では薬剤師免許をもつ者の約 6 割を占めている.この増加は,医薬分業の進展と切り離して論ずることはできない.2015 年 10 月に厚生労働省が公表した「患者のための薬局ビジョン」では,「医薬分業とは,医師と薬剤師がそれぞれの専門分野で業務を分担し国民医療の質的向上を図るものであり,医師が患者に処方箋を交付し,薬局の薬剤師がその処方箋に基づき調剤を行うことで有効かつ安全な薬物療法の提供に資するものである」とされている.我が国における医薬分業の確立はいまだ道半ばであるが,高齢化社会の急激な進展に対応するための地域医療体制の整備が急務となっており,医薬分業の確立もその一つとなっている.以上の背景からこれまでも薬剤師・薬局のあり方に関わる様々な制度が変わってきており,2019 年の医薬品医療機器等法および薬剤師法の一部改正によって当面の薬剤師・薬局のあり方の整理がついたと考える.本稿では,医薬分業の進展と薬局業務の変遷について振り返り,改正医薬品医療機器等法および薬剤師法から見える現在の薬剤師・薬局の課題と今後の展望についてまとめる.

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© 2020 一般社団法人 日本薬局学会
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