2020年の新型コロナウイルス感染症（以下，COVID-19）の流行は，保険薬局を含む国内社会に大きな影響を及ぼしている．当社グループが2018年12月～2020年12月に運営していた673薬局の処方データを調査し，臨時休校の実施前，臨時休校の実施後，緊急事態宣言発出後，GoToトラベル開始後の4期間に分け，有意水準0.05として2019年と2020年を比較した．2020年の日平均処方箋応需枚数は減少傾向があり，緊急事態宣言発出後とGoToトラベル開始後は，2019年比で90.2%，93.5%であった．18歳未満の患者の日平均処方箋応需枚数は，臨時休校の実施後で2020年のほうが2019年より有意に低く，総合感冒薬等の急性疾患治療薬も同様であったが，糖尿病治療薬等の慢性疾患治療薬は全期間で有意差はなく，COVID-19の流行は，保険薬局の急性疾患の処方箋応需を抑制する一因の可能性が示唆された．
