YAKUGAKU ZASSHI
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Adiantum属植物の生薬学的研究 (第3報) Series Venustaの組織学的分類と関連生薬の基源
難波 恒雄御影 雅幸蔡 少青
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1988 年 108 巻 12 号 p. 1179-1187

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抄録

著者らはアジアに分布するAdiantum属植物の内部形態とその関連生薬の基源について研究し, これまでseries Caudata, Pedata及びFlabellulata植物について報告してきた. 本報ではseries Venusta CHINGの組織学的分類及びその関連生薬の基源について報告する. Series Venusta植物はアジア地区には中国を中心に約10種が知られている. 本sericsの植物の葉は23回羽状複葉であり, 小葉は対称形で, 扇子形, 卵形, 倒卵形あるいは倒三角形を呈し, 長さ及び幅はともに5 10mm, 分裂せず上縁にはしばしば細歯牙が認められる. 本series植物の内, A. davidi FRANCH., A. bonatianum BRAUSE, A. fimbriatum CHRIST及びA. monochlamysEATONが中国で, A.venustum DONがインド, ネハールなどで, またA.monochlamysが日本でそれぞね薬用に用いられるとされる. 今回は分布域が狭く, 生育量も少ない数種を除いて, 中国及びその周辺に分布する上述の5種を含むscries Venusta植物計7種について比較組織学的研究を行い, 同時に, 入手し得た各国の生薬の内, 本seriesに属する, 中国雲南省市場の「猪宗草」の基源を検討した.

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