YAKUGAKU ZASSHI
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ブタ精巣チトクロームP-450 (17α-ヒドロキシラーゼ/リアーゼ) に及ぼす20β-ヒドロキシ-C21-ステロイドの阻害効果とスペクトル変化
中陳 静男高橋 一彰篠田 雅人
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1988 年 108 巻 12 号 p. 1188-1195

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抄録

精巣におけるアンドロゲン生合成はcholesterolを出発原料として行われており, 各種ステロイド代謝酵素によりその生合成が触媒されている.その中でヒドロキシラーゼ反応や炭素-炭素間切断のリアーゼ反応はミトコンドリアあるいは小胞体に局在するチトクロームP-450 (P-450) の関与するオキシゲナービ反応であることが知られている.
ChoresterolからC21-ステロイドの生合成はミトコンドリア内膜に局在するP-450seeにより触媒さねているが, C21-ステロイドからアンドロゲンであるC19-ステロイドの生合成は小胞休に局在するP-450 (17α-ヒトロキシラーゼ/リアーゼ)(P-45017α/lyase) により触媒されており, 見かけ土異なる反応である17α-ヒドロキシラーゼ活性 (17α活性) とC17, 20-リアーゼ活性 (lyase活性) を有していることが著者らにより明らかにされている. またこのP-45017α/Lyaseはその電子伝達系にチトクロームb5 (b5) が関与することによりフェロモンと考えられているΔ16-C19-ステロイドを生合成することも明らかにしており, 本酵素は精巣におけるアンドロゲン生事合成における重要な位置を占めるP-450オキシゲナーゼである.
最近著者らは幼若ブタ精巣中に20-ケト-C21-ステロでドを20β (20R)-ヒドロキシステロイドに還元する20β-ドロキシステロイド脱水素酵素 (20β-HSD) 活性を認め, 幼若時に, その活性が著しく高いことを報告した. 更にその精製, 純化に成功した.
本論文ではこの精巣20β-HSDの生理的意義を明らかにする目的の一端として, 本酵素の還元反応により生成する20β-ビドロキシ-C21-ステロイドが精巣のP-45017α/lyaseによ触媒さ, れるオキシゲナーゼ活性, すなわち△16-C19ーステロイド合成酵素活性 (△16活性), 17α 活性及びlyase活性に及ぼす景多響を検討し, 併せてオキシゲナーゼの末端酵素であるP-45017α/lyase自身に及ぼす影響をSoret帯の吸収スヘクトル変化から検討した.

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