山野研究紀要
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技術・技能の伝承と技能成績管理評価システム : 美容技術指導法における技術指導要領(教員用)の必要性について
河野 誠二由井 貴美子遠藤 圭子加藤 宏美秋田 留美趙 智順戴 美瑩山本 恵子萩原 良雄黒田 文美
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2005 年 13 巻 p. 41-53

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抄録

美容業は"質"の時代になったと言われているが、お客様へのサービスが「顧客満足度」の追求を最高価値とするなら、サービスを提供する側がそれだけ高度な内容を持たなければならない。そしてサービス業のひとつである美容業が"人"による営みであることから、美容業の質の向上を目指すには教育が極めて重要なテーマとなってくる。これからの美容業及び美容教育の中でも、美容実習指導の現場において質の高い教育を絶えず考案し継続していく必要があると考え、その継続に必要な手段について研究した。美容実習系の教育担当者に期待される能力は、教育・指導の評価能力がより重要であり、その時々の教育・指導の効果を瞬時に判断し、対象者個々にどのような指導を施すべきかのテーマを見いだし、適切な教育・指導を実施しなければならない。そのためには未経験あるいは未熟な学生の指導において、技術習熟度に対する「意欲」・「態度」・「能力」をどのように評価するか、が重要である。それらの評価を基にして、柔軟な発想と態度で学生の意欲を高め、創造性が発揮できるような自己啓発を促すことができる。一方では技術評価からの科学的なデータ分析を基に、学生ごとに次の学習目標を明確に指導し、学習意欲の向上に期待が持てるような機会を創出していくことが重要である。このような観点から、技術評価システムを独自に考案し、適用してみた。今回はその第一回目の結果であり、この結果を基にしてさらなる改良を目指したい。美容技術の教育・指導方法の一貫である「技術・技能の伝達伝承」についての性格を考察してみると、「手の仕事」を基本にしている。時代が変わり環境が激しく変わりつつある今、その変化しつつある時代に生まれ、成長してきた学生たちの性格、気質の変化に対応できるような「適応性の高い美容教育・指導」、「技術・技能の伝達伝承」に積極的に取り組んでいく必要がある。そのために、指導法もまた絶えず進化しなければならない。最後に、美容における技術指導要領の作成の必要性についても論述した。これの研究から、さらに新しい指導法が生まれることを期待して研究を続行する予定である。

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© 2005 学校法人山野学苑 山野美容芸術短期大学
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