様々な自然土の添加が、天然植物染毛剤のヘナによる染毛に及ぼす影響を検討した。ヘナ粉末に対して、長野県御代田町を水源とするにごり川の河川堆積物の添加は、染毛後の白髪の色調を大きく変化させた。一方、園芸用の土の添加は、その色調にほとんど影響を与えることはなかった。にごり川の河川堆積物には、鉄が多く含まれていることが知られている。しかしながら、鉄を成分とするα-酸化鉄(III)や酸化水酸化鉄(III)には同様の効果は見られなかった。また、ブリーチ毛に対する染毛においても、にごり川の河川堆積物の添加は、α-酸化鉄(III)や酸化水酸化鉄(III)の添加よりも、明度、色度、彩度を抑えた色調に染毛できた。これらの結果から、にごり川の河川堆積物は、ヘナによる染毛において、その色調を変化させる特異な作用を示すことが判明した。