山野研究紀要
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女性高齢者の立位・座位姿勢間における下半身寸法変化の特徴 ―若年成人女子との比較―
大野 淑子渡辺 聰子松梨 久仁子島崎 恒藏
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2013 年 21 巻 p. 1-9

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抄録

女性高齢者の立位・座位姿勢間における下半身各部位の寸法変化の特徴を若年成人女子と比較しながら検討した。本研究では、女性高齢者を健康で生活が自立した健常高齢者(グループ A)と、介護施設で何らかの支援を要する施設高齢者(グループ B)に分類した。主成分分析の結果から高齢者 A の体型は、若年女性と比較して、総合的大きさは小さいが、太り体型であった。若年成人女子と高齢者 A における立位から座位への姿勢変化による身体部位に関する特徴では、ヒップと腹囲において比較的差が見られた。具体的には、腹囲(座位計測値/立位計測値)では高齢者 A の方が若年者よりいくらか高い程度だったのに対し、ヒップ(座位計測値/立位計測値)では若年者よりはるかに高く、また分布の幅も広かった。立位姿勢から座位姿勢に伴う下半身各部位の寸法変化は、両姿勢の間でいずれの項目も相関係数が総じて高く、回帰直線によって推定が可能である。このうちヒップと ”W.L.~外果” を除く各項目、すなわちウエスト、最前方突出囲(腹囲)、殿溝部大腿囲(大腿囲)、”W.L.~膝窩、”W.L.~膝蓋骨中点”については、若年者と高齢者 A ともに共通した回帰式を使用できる。またパンツ設計に特に重要な項目であるヒップと”W.L.~膝窩”に関しては重回帰式を求めたところ、若年者と高齢者 A では取り込まれる変数が異なった。これは両者の体型の相違を反映した結果と解釈される。一方、座位下半身部位データによる主成分分析から、若年者、高齢者 A、B の比較を行った。この主成分分析で、第 3 主成分は、”出っ腹の目立ちやすさ”を意味する主成分と考えられ、第 3 主成分が、高齢者 B のグループを特徴付ける重要な主成分であった。

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© 2013 学校法人山野学苑 山野美容芸術短期大学
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