山口医学
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原著
急性胆嚢炎に対する“腹腔鏡下胆嚢粘膜破壊術”の手技について
河岡 徹高島 元成深光 岳松井 洋人徳光 幸生長島 淳平木 桜夫福田 進太郎
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2009 年 58 巻 1 号 p. 21-26

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抄録

炎症の強い胆嚢炎に対しては,胆嚢壁の一部をまず切開開放し,内腔を確認しながら可及的に胆嚢壁を切除し,残存した胆嚢粘膜を焼灼する方法が行われている.この方法の名称は統一されておらず,胆嚢粘膜破壊術あるいは胆嚢のunroofingなどと呼称されている.この際,開腹下では胆嚢底部から胆嚢内腔に達してdome downに胆嚢壁切開を進める方法(底部先行型)が一般的である.一方,腹腔鏡下では,1)粘膜の壊死などにより胆嚢体部の壁に穴が開いた為,同部から切開を進める方法(体部先行型),2)総胆管側の胆嚢管を何とかクリップあるいは結紮で処理できたが,胆嚢側の胆嚢管は処理が出来なかった為,胆嚢管もしくは胆嚢胆嚢管移行部に開いている穴から切開を進める方法(頚部先行型),3)開腹下と同様に胆嚢底部からアプローチする方法(底部先行型)の3通りがある.腹腔鏡下胆嚢摘出術の困難例では,オリエンテーションのついたところから適宜,胆嚢の剥離操作を行うことが重要であるが,剥離自体が困難な症例では本術式に変更せざるを得ない場合もある.その際には,まず胆嚢壁に穴を開け,“とっかかり”の部分を早く見つけ出し,胆嚢内腔に達して安全に胆嚢壁を切除することが肝要である.

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