山口医学
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症例報告
会陰部の粉瘤より発生した扁平上皮癌の1例
鈴木 道成橋本 毅一郎
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キーワード: 粉瘤, 扁平上皮癌, 悪性化
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2017 年 66 巻 1 号 p. 37-40

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抄録

会陰部の粉瘤より発生した扁平上皮癌の1例を経験したので報告する.症例は56歳,男性.15年前に会陰部皮膚膿瘍の切開排膿を受け,その後も小腫瘤を時々自覚していた.約半年前より腫瘤の増大を自覚,1ヵ月前より疼痛,悪臭を伴うようになり近医を受診.会陰部の腫瘤生検より扁平上皮癌と診断され当科紹介となった.会陰部に鶏卵大の皮下腫瘤を認めた.腫瘤の中央部は自潰し,辺縁の皮膚は硬く触知した.腫瘤部より約5cm背側に皮下瘻孔で連続した過去の膿瘍切開部があり,皮脂特有の悪臭を伴う白色調の分泌物を認めた.CTでは長径43mmの境界明瞭な腫瘤で,内部に変性と思われる低濃度領域,辺縁部には明瞭な造影効果を認めた.腫瘤背側に皮膚と連続する索状構造が認められた.以上より粉瘤部に生じた扁平上皮癌と診断した.遠隔転移,リンパ節腫大は認めず,全身麻酔下に腫瘍切除術を施行した.病理組織所見は高分化型扁平上皮癌で,断端は陰性,病期分類はT2 N0 M0 StageIIであった.術後3年経過した現在,再発は認めていない.

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© 2017 山口大学医学会
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