日本腰痛学会雑誌
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特集 腰痛に対する保存療法の理論と実践
腰痛に対する薬物療法のEBM
井口 哲弘笠原 孝一金村 在哲
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2005 年 11 巻 1 号 p. 85-91

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抄録

腰痛に対する薬物療法(特にNSAIDs,筋弛緩薬,抗うつ薬)のEBMについてCochrane Reviewを中心に調査した.まずNSAIDsは急性腰痛に対して効果があるが消化器系合併症が問題となる.NSAIDs間の効果に違いはなく,鎮痛剤より効果があるかは中等度のエビデンスがあった.慢性腰痛に対する効果は証明されていないが,これは絶対的なRCT量の不足による可能性が強い.筋弛緩薬は急性腰痛に対して強いエビデンスがあるが,長期効果は証明されていない.検討された筋弛緩薬には非ベンゾジアゼピン系薬剤が多く,中枢神経系の副作用はプラセボの約2倍であった.慢性腰痛に対する抗うつ薬はプラセボと比較して,疼痛は軽減させるが日常生活の改善度は差がなく,抗うつ薬使用群は有意に眠気,口内乾燥感,フラツキなどの副作用が多い結果であった.欧米と本邦では薬剤そのものや,その分類法が異なり国際的な分類の統一と本邦独自のメタアナリシスが必要と思われた.

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© 2005 日本腰痛学会
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