日本腰痛学会雑誌
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特集●腰痛に対する運動器リハビリテーション
腰痛性疾患にみられる「コルセット筋」の筋力低下と簡便な座位トレーニング
浜西 千秋
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2007 年 13 巻 1 号 p. 52-57

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抄録

腰部・下肢症状を有する外来患者49例で,用手的筋力測定装置により座位において躯幹の引き起こし筋力を測定したところ,無症状対照群の平均値,男性116N,女性78Nに対し,男性17例で86N,女性32例で64Nと著明に低下していた.外来で座位で躯幹を後傾させる,あるいは後傾させて両足をあげるなどの極めて簡便な「コルセット筋」訓練を指導し,経過を追って測定したところ,女性15例で51Nから78Nへ,男性9例では平均69Nから95Nへとそれぞれ筋力は増加し,これら24例のうち17例で腰痛や神経症状の改善が認められ,また病態や治療に対する不安感が大きく減少していた.内外腹斜筋,腹横筋,多裂筋など腹腔周囲「コルセット筋」の持続運動や筋力強化は慢性腰痛の予防と治療のみならず,腰椎由来の神経症状の治療や “ぎっくり腰” の予防にも有用であり,また筋力の即時数値評価は患者の訓練に対するコンプライアンスを高めるのに効果的であった.

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© 2007 日本腰痛学会
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