日本腰痛学会雑誌
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[特集]腰痛疾患に対するinterventional therapy―現在から未来へ―
腰椎変性すべり症に対する椎弓根スクリュー固定を併用した後側方固定術
─その適応と限界─
玄 奉学佐久間 吉雄室谷 錬太郎朝倉 太郎早坂 豪
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2009 年 15 巻 1 号 p. 64-72

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抄録

腰椎変性すべり症に対する,椎弓根スクリュー(PS)固定を併用した後側方固定術 (PLF) の術後成績と画像解析から適応と限界について考察した.対象は,術後5年以上経過観察した1椎間固定49例である.JOA scoreは術後良好に改善し,最終調査時も維持されていた.PLFでは,PSを併用しても術直後のアライメントは矯正損失を生じ,ほぼ術前の状態で骨癒合となる.後弯位癒合例も生じるがPSの制動効果で5度以内に収束され,臨床成績や隣接椎間障害発生には影響していなかった.通常経験する変性すべり症に対するPLFの治療成績は良好だが,高度のすべりや不安定性に対する1椎間固定には限界がある.一方,後方椎体間固定術(PLIF)は矯正維持の点で優位だが,隣接椎間障害や再手術を考慮すると,適応は前方支持を要する一部の症例に限定される可能性がある.不安定性の程度や病態に応じて各術式を適切に使い分けることが重要である.

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© 2009 日本腰痛学会
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