抄録
骨粗鬆症患者の急性腰背痛は主として圧迫骨折に起因し,慢性腰背痛は後弯による筋筋膜性疼痛が多い.圧迫骨折のMRIはT1で低輝度,T2で高輝度を示し,新鮮骨折の描出に鋭敏であるのでX線写真で骨折と判断しがたい場合特に有用性が高い.偽関節は慢性疼痛の原因となり,そのX線像では骨折線が前屈位で縮小ないしは消失し伸展位で拡大する.MRIではT1低輝度,T2高輝度と明瞭化する.Gd造影所見は骨折椎のviabilityを反映するので骨癒合の予後判定にも役立つ.したがって,圧迫骨折の治療では,MRIを参考にして体幹ギプスのような強固な外固定を行うことにより高い癒合率が得られる.また,単純X線写真での骨硬化像の出現はMRIの正常化より早く,しかも腰背痛の経過を反映しやすい.