日本腰痛学会雑誌
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〔特集〕骨粗鬆症と腰痛
骨粗鬆症の腰痛に対する外科療法─リン酸カルシウム骨ペーストを応用した低侵襲手術法─
武政 龍一山本 博司
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2002 年 8 巻 1 号 p. 64-70

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抄録
骨粗鬆症に伴う腰痛は,主に圧迫骨折の新たな発生による急性期疼痛と,骨癒合が障害された偽関節あるいは遺残高度後弯変形による慢性期疼痛に分けられる.神経障害を伴わないこれらの病態に対しては,従来保存療法が適用されてきたが,それでは対処困難な場合も少なくないことが認識されてきた.われわれはbioactiveで骨親和性の高いリン酸カルシウム骨ペーストを経椎弓根的に骨折椎体内に注入する低侵襲の骨折修復術を開発し,臨床応用を行ってきた.これまで本法を行い3カ月以上経過観察できた症例は,新鮮圧迫骨折19例,遷延治癒・偽関節が17例であり,全例で術後早期からの著明な除痛が得られ,術中に得られた圧潰椎体の整復状態は術後わずかに矯正損失するのみで良好に保持できており,早期の運動性の回復と後療法の簡略化に役立っていた.本法は骨粗鬆症性椎体骨折やその関連病態による腰背部痛に対して,有効な治療法の1つになり得ると考える.
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© 2002 日本腰痛学会
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