抄録
運搬用大型車両運転手の腰痛についてアンケート調査と直接二次検診を実施した.対象は化学工業グループに属する運輸会社に勤務する専任運転手153名で, 質問内容は現在または過去1ヵ月以内の腰痛の有無, 年齢, 身長, 体重, 勤務年数, 家族歴, 既往歴, 喫煙習慣, 仕事内容, 作業環境, 労働条件などであり, 腰痛の原因に関する意識調査も行った.調査時に腰痛を認めるものは37名24%, 過去1ヵ月以内に腰痛を認めたものは77名50%であった.腰痛は年齢が30歳代で, 勤務年数が10年未満のものに多くみられる傾向があった.腰痛の危険因子は家族と過ごす時間が足りない, 勤務時間が不規則などの労働条件に関するものであった.腰痛は入浴・湿布で緩和するするものが多く, 他覚的所見は局所の圧痛が主で神経症状は2例8%に認めたのみであった.