2005 年 42 巻 2 号 p. 45-53
肥育豚の発育性・産肉性および脂肪組織と筋肉の脂肪酸組成に及ぼすエゴマ粕給与の影響を対照区, エゴマ粕10%添加区 (10%区), 15%添加区 (15%区), 20%添加区 (20%区) の4区を設けて検討した。発育成績は, エゴマ粕添加飼料給与日数が10%区で最も短い値を示し10%区と15%区および20%区間に有意な差が見られた (P<0.05)。また一日平均増体量は10%区が最も高い値を示し, 10%区と15%区および20%区間に有意な差が見られた (P<0.05)。
枝肉成績は枝肉歩留が対照区で最も高い値を示し, 対照区と15%区間に有意な差が見られた (P<0.05)。また, 背脂肪厚では, 肩が20%区において最も薄い値を示し, 20%区と15%区間に有意な差が見られ (P<0.05), 背では15%区が最も薄い値を示し, 対照区と15%区間に有意な差が見られた (P<0.05)。
脂肪組織と筋肉の脂肪酸組成は, エゴマ粕添加割合が高くなるにしたがってC18 : 3含量が高くなり, 逆にn-6/n-3比が低くなった。また, 脂肪の硬軟を示すC18 : 2/C18 : 0はエゴマ粕添加割合が高くなるにしたがって高い値を示し, 不飽和度も高くなった。
以上の結果より, エゴマ粕を添加した肥育後期飼料を肥育豚に給与した場合, その添加割合が高くなるにつれてC18 : 3含量が高くなり, n-6/n-3比が低くなるものの, 逆に不飽和度が高くなり, 脂肪の軟化が進むという悪影響が見られた。従って本研究において, 発育性や枝肉成績も含めて考慮した場合, エゴマ粕の添加割合は10%程度が適当であると考えた。