日本養豚学会誌
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原著
卵巣ステージが豚子宮筋の自発収縮活性と薬物反応性におよぼす影響
北澤 多喜雄宮崎 怜子磯江 源太郎曹 金山種池 哲朗
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2005 年 42 巻 4 号 p. 165-177

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抄録

子宮の運動および薬物反応性が, 卵巣ステージで変化する性ステロイドホルモンにより調節を受けていることは実験小動物を用いた解析から明らかになっているが, 豚において卵巣ステージによる子宮筋薬物反応性の変化をin vitroの摘出標本レベルで解析した報告は見当たらない。
本研究では, 卵巣の肉眼的所見から, 卵胞期, 黄体初期, 黄体開花期に分類した経産豚の子宮筋 (縦走筋, 輪走筋) を用い, 卵巣ステージにより子宮筋の自発収縮活性と薬物反応性が影響を受けるか否かを検討した。
供試した摘出子宮輪走筋標本は, いずれの卵巣ステージでも自発収縮活性を有していたが, 縦走筋では, 自発収縮を示す標本の割合は, 黄体期で低下した。自発収縮が発現した標本で収縮の波形下面積 (活性) を比較すると, 輪走筋では卵巣ステージによる変化は認められなかった。縦走筋においても収縮活性は黄体初期に一過性に増加するものの全体としては卵胞期から黄体期に移行してもあまり変わらなかった。子宮筋収縮作用のあるcarbachol, prostaglandin F受容体作動薬fluprostenolおよびoxytocinは, 子宮筋の収縮活性を筋層依存性 (縦走筋>輪走筋) に増大させたが, その反応性 (50%効果濃度) には卵胞期と黄体初期, 黄体開花期間で差は認められなかった。しかし, 最大収縮は卵胞期の方が黄体期よりも有意に大きくなっていた。一方, 子宮筋弛緩作用のあるisoproterenolおよびprostaglandin D2受容体作動薬BW245Cによる自発収縮抑制反応は, 卵巣ステージによっても殆ど影響されないか, 黄体初期に一過性の増大が認められたのみであった。
以上の成績から, 子宮筋 (特に縦走筋) の自発収縮活性は卵巣ステージにより影響を受けること, 収縮性薬物に対する反応は卵胞期に比べ黄体期で低下すること, 弛緩性薬物の反応は種々のステージでも殆ど変化しないことが明らかになった。

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© 2005 日本養豚学会
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