2008 年 45 巻 3 号 p. 156-163
複数形質に対する指数選抜下での集団の有効な大きさおよび近交度を予測するための理論を開発した。予測モデルにおいては,選抜指数の遺伝率を用いて指数選抜を単一形質に対する選抜で近似する方法を採用した。7世代にわたる指数選抜によって造成された現実の系統に得られた予測理論を適用し,集団の有効な大きさと近交係数の予測値を造成過程で観測された値と比較した。集団の有効な大きさに関する予測値と観測値の間には2,3の世代で相対的に大きな差が認められたが,世代にわたる調和平均で見ると予測値は観測値に近い値を示した。集団の有効な大きさから予測された共祖係数および近交係数は,観測値とよく一致した。これらの結果から,選抜指数を用いた豚の閉鎖群育種の設計に当たって,提示した予測理論が利用できるものと考えられた。