日本養豚学会誌
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原著
豚系統造成における産子数の遺伝的パラメーターの推定精度
佐藤 正寛
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2009 年 46 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

REML法による産子数の遺伝的パラメーターの推定精度について,豚系統造成規模の集団を想定して検討した。遺伝的パラメーターの推定に用いた記録は,モンテ・カルロ法によるコンピュータシミュレーションにより発生させた。基礎集団における繁殖集団の大きさは雄10頭雌50頭とした。雄1頭に雌5頭を交配し,一腹から雄1頭,雌1~3頭を育成して交配し,分娩後,無作為に50腹を選抜する世代重複のない10世代分の記録を発生させた。産子数の遺伝率は0.1とした。母数効果は世代の効果とし,各条件下で100反復の継代記録を発生させ,遺伝的パラメーターにおける推定値の平均およびその平均平方誤差の平方根(SMSE)を算出した。記録を持つ個体数が500頭未満のとき,相加的遺伝分散および遺伝率は過大推定され,環境分散は過小推定された。各遺伝的パラメーターのSMSEは記録を持つ個体数の増加とともに急激に減少し,個体数が500頭を超えるとその減少量は緩やかになった。一腹あたりの雌の育成頭数が1頭の場合,5世代以上の記録を用いた場合でも,遺伝率の推定値の約3割が0.1%未満となった。

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© 2009 日本養豚学会
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