日本養豚学会誌
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原著
豚へのグルコース経口給与が血漿グレリン濃度に及ぼす影響
井上 寛暁松本 光史村上 斉梶 雄次
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2010 年 47 巻 1 号 p. 16-22

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抄録

グレリンは28個のアミノ酸残基からなるペプチドで,摂食行動とエネルギー代謝調節に関与すると考えられている。豚におけるグレリンの分泌調節機序については現在までのところ明らかにされていない。本研究では,豚へのグルコースの経口投与がグレリン分泌に及ぼす影響を検討した。6頭の交雑種(LWD)去勢雄豚に,グルコースを0,1,2および4g/kgBWの用量で経口投与した。グルコース投与後に頻回の採血を行い,血漿グレリン,インスリンおよびグルコース濃度を測定した。その結果,血漿グレリン濃度はグルコースの投与量に依存して低下した。この血漿グレリン濃度の低下は,血漿グルコースおよびインスリン濃度の上昇に伴って起こり,血漿グレリンとグルコース(相関係数r=-0.69,P<0.01)およびインスリン(相関係数r=-0.59,P<0.01)の間に負の相関がみられた。以上の結果から,豚ではグレリンの分泌抑制機序の一部に血漿グルコースあるいはインスリンの上昇が関与する可能性が示唆された。

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© 2010 日本養豚学会
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