日本養豚学会誌
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原著
ふん尿汚水を凝集剤添加および機械分離した脱水濾過液を利用したMAP法によるリン除去・回収技術
脇屋 裕一郎石田 稔内田 敏博古田 祥知子関戸 正信河原 弘文下平 秀丸川村 英輔鈴木 一好
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2010 年 47 巻 4 号 p. 187-197

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抄録

陶器製の回収部材を利用したMAP (Magnesium Ammonium Phosphate)法によるリン除去・回収において,ふん混合割合が高く浄化処理の前処理として汚水脱水機を利用している養豚農家の汚水を供試して,散気管および曝気量を改良したリアクターによるリン除去・回収試験を実施した。
MAPリアクターは有効容積250Lのステンレス製で,曝気効率を向上させるために微細気泡散気管を3基設置し,送風機で45m3/m3・時の条件で曝気処理を行った。回収部材はあらかじめ30% MgCl2・6H2O液に浸漬処理した星型の陶器製部材を供試し,回収部材24本を容器に設置してリアクターに投入した。試験は,脱水濾過液をMAPリアクターに5分間隔で1日当たり4.8m3 (HRT 1.25hrs)投入し,連続曝気および30% MgCl2・6H2O液の連続添加(10L/日)を行った。試験期間は65日間で実施した。
原水中のpHは秋期から冬期にかけて高くなり,pH上昇に伴い水溶性PO4-P濃度は減少した。また,脱水濾過液についても同様な傾向が確認されたが,凝集剤添加および機械分離工程で原水よりもpHがさらに上昇し,平均水溶性PO4-P濃度も79.0mg/lから37.9mg/lに減少した。また,試験期間において,原水および脱離濾過液中のpHの上昇により平均水溶性PO4-P濃度が22.9mg/lと低濃度で推移したが,MAPリアクターにおいて曝気効率を高めたことにより,MAP反応の促進により,汚水中のリン1kg当たり0.33~0.46kgと高いMAP回収率を示した。
以上により,散気管および曝気量を改良することにより,MAP回収率が高くなることが確認されたが,汚水処理の凝集剤添加および機械分離工程においてpH上昇等に伴い水溶性PO4-P濃度が顕著に低下したため,MAP回収効率をさらに高めて年間を通じて安定したリンの浄化能力を確保するためには,原水および脱離濾過液中のpHを低く制御して,高濃度の水溶性PO4-P濃度を維持した状態でMAPリアクターに投入する必要がある。

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