日本養豚学会誌
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原著
畜産排水の活性汚泥処理水を対象としたMAP法によるリン除去・回収技術
脇屋 裕一郎鶴橋 亨高柳 典弘卜部 大輔河原 弘文永渕 成樹
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2013 年 50 巻 3 号 p. 128-136

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抄録

固形分含量が少ない活性汚泥処理された処理水を利用して,沈殿物から MAP を回収するための最適条件の確認を行うとともに,MAPリアクターにおけるリンの除去・回収効率を調査した。
 試験は,畜産排水由来の固形分等の変動要因を除いた人工リン含有水を利用して,反応槽容量33 l,日処理量240 lの室内規模でのMAP反応試験を実施した。得られた最適な条件で,活性汚泥処理水を利用した反応槽容量700 l,日処理量約5 m3 規模でのMAP反応試験を,室内規模試験と併せて実施した。
 人工リン含有水での試験の結果,pH8.5~8.6,Mg/P比1.5の条件でMAP結晶体の顕著な成長が確認され,70%以上のリン回収率が得られた。
 活性汚泥処理水を利用して,pH8.5~8.6,Mg/P比1.5の反応槽内条件の基準で室内試験および実規模試験を行った結果,投入した活性汚泥処理水に比較して MAP 反応後の T-P,水溶性PO4-P濃度が顕著に低下して80%以上の高い除去が確認された。また,人工リン含有水と比較して活性汚泥処理水ではリン回収率は低くなったが,60%程度の高い回収率が得られた。実規模試験において回収された結晶物量は37.1 kgであり,そのうち,固液分離機での分離が可能となる0.2 mm以上の粒径は18.2 kgと総重量の約50%を占めた。

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© 2013 日本養豚学会
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