日本養豚学会誌
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原著
高タンパク質飼料への砂糖またはチョコレート添加が豚の発育と肉質に及ぼす影響
前田 恵助山中 浩輔入江 正和
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2017 年 54 巻 1 号 p. 11-20

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抄録

高タンパク質の飼料条件下において,エコフィードとして利用される砂糖またはチョコレート添加によるカロリーアップが,豚の生産性と肉質にどのような影響を及ぼすのかを調べた。リジン含量0.74%,粗タンパク質含量16.3%の同一飼料条件下で,可消化エネルギー(DE)が4.2Mcal/kgの対照区,砂糖添加によりDEを4.6Mcal/kgとした区,チョコレート添加によりDEを4.6Mcal/kgとした区の3区を設けた。デュロック種18頭(平均体重68.8kg)を各区6頭(雌3頭,去勢雄3頭)ずつ割り当て,体重約118kgまで飼養した。DE増加による日増体量に有意な影響はなかった。枝肉重量は,対照区に比べ,両試験区で重い傾向にあり,枝肉歩留はDE上昇によって高まった。肉質では,砂糖添加区で胸最長筋のL*値が,チョコレート添加区でb*値がやや高くなった。すべての区で筋肉内脂肪含量の平均値は7%以上と高かったが,カロリーアップの有意な効果はみられなかった。皮下内層脂肪,腎臓周囲脂肪において両添加区で,一価不飽和脂肪酸含量が増加し,多価不飽和脂肪酸含量が減少するか,減少する傾向にあった。以上の結果より,高タンパク質飼料条件下においても高い筋肉内脂肪の豚肉は生産でき,砂糖やチョコレート添加によるカロリーアップ法の筋肉内脂肪に対する増加効果は必ずしも期待できないが,脂肪質改善の可能性があることが示された。

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© 2017 日本養豚学会
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