日本養豚学会誌
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豚舎汚水の微細粒子を分離した効率的浄化処理システム
亀岡 俊則因野 要一
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1988 年 25 巻 1 号 p. 9-16

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抄録

前処理で微細粒子を分離することにより, 経済的で浄化効率の高い豚舎汚水の処理を目指し, 実用規模の浄化処理システムを構成し, 汚水処理を行なった。方法は, 約10,000頭分の豚舎汚水の粗大物を節別し, 次いで高分子凝集剤を添加して微細粒子を凝集分離した一次処理水について, 回分式活性汚泥法によって処理を行なった。一方, 凝集汚泥は余剰汚泥と共に, 円板型分離機により固形物の分離脱水を行なう処理システムとした。凝集分離の効果は, 汚水量に対しカチオン系高分子凝集剤を約100mg/l添加すると, SS除去率は95.9%で, BODの除去率は80.4%と高い分離効果が認められた。また, 50mg/lの添加量でもSS除去率は82.7%であり, BOD除去率は42.5%と, 比較的良好な凝集分離効果を示した。固形物を分離した処理水のBODは1910mg/lであり, この活性汚泥処理のBOD容積負荷量は0.33kg/m3・日で, その処理水のBODは44.0mg/l, 除去率97.7%, 特にNH3-Nの除去率は98%と極めて高い浄化効率を示した。円板型分離機による汚泥の分離濾液は, SS除去率約98%と良好であった。この処理経費は建設費約5000円/頭, 運転経費は約1.6円/頭・日であった。このように, 本処理システムは, 従来の浄化法に比し処理性能, 経済性共に大きく改善することができた。

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