日本養豚学会誌
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腹腔鏡法および開腹手術法による豚初期胚の移植
柏崎 直巳塩原 広之添田 益夫武田 光彦杉本 輝夫菅原 七郎正木 淳二
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1988 年 25 巻 4 号 p. 186-190

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抄録

腹腔鏡を用いる豚胚の移植法 (腹腔鏡法) を試み, 開腹手術による方法 (開腹手術法) と比較検討をおこなった。交配後6~7日目の donor を開腹手術し, 子宮を Dulbecco's PBS (PBS) にグルコース (1mg/ml) と牛胎子血清 (FBS; 1% (v/v)) を加えた液で灌流して胚盤胞を回収した。胚盤胞は, 移植まで37℃にて保持した。24時間絶食させた recipient を麻酔し, 仰臥位に保定して腹腔鏡と探り針により黄体の有無を確認後, 子宮角上部を把持鉗子で固定した。腹壁を介して20cmの長針を固定された子宮角上部へ刺し込み, 針の先端が子宮腔に達するようにした。1mlシリンジに接続したエクステンションチューブの先端からあらかじめ胚を0.4mlの保存液 (PBSにグルコース (1mg/ml) とFBS (10% (v/v)) を加えた液) とともに吸引しておき, このチューブをその長針に連結して胚を注入した。開腹手術法では正中切開を実施し, 常法通りに子宮角上部へ移植した。腹腔鏡法による移植では11例中3例 (27%) が, 開腹手術法では6例中5例 (83%) が妊娠した。移植胚数に対する産子への発生率は, 腹腔鏡法で16%, 開腹手術法で51%であった。また妊娠例中のこの率は, 腹腔鏡法で60%, 開腹手術法では58%であった。腹腔鏡を用いた移植法は安全で, 十分な手術設備を有していない一般の農場においても豚の胚移植技術を適用しうるので有用であろう。

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